園のご紹介
2023年2月17日

みどり保育園(曽於地区)

園長 前田和彦

ブログを書いた人 鹿児島県保育連合会 広報調査部

鹿児島県内の特色ある保育園を紹介していくこの企画。
今回は曽於地区のみどり保育園さんのインタビューになります。

園の写真
軀川さん

みどり保育園の前田和彦園長先生にお話を伺います。まず、園の概要をお願いします。

前田さん

みどり保育園は認可保育所で、定員が30名です。
松山やっちく会は、基本的には介護が主で、特別養護老人ホームやデイサービス、認知症型、有料型老人ホームなど高齢者に特化した社会福祉法人です。
公立だったみどり保育園を8年前から運営しています。
児童クラブも実施していまして、すぐ近くに40名位の小学校があり、20名が当園に来ています。

軀川さん

校区はどうなっていますか。

前田さん

町外から送迎バスで来ている園児もいますが、基本的には校区内の園児が多いです。

軀川さん

園の特色は?

前田さん

小学生40名程の校区ですので30名の園児を集めるのは非常に難しいです。ですので、校区外から来て頂くにはどうしたら良いかを考えたんです。そしたら、校区地域の方々の力と知恵を借りるのが大事なんじゃないかなと感じ、「地域密着型」を超えて、更に地域の人と密になって運営していく「”超”地域密着型」の保育園運営を目指しています。芋掘り・野菜の植え付け体験・餅つきなどの行事や、園のイルミネーション飾り付けなど、月に1回は校区の方と一緒に行う行事があります。またSDGsにも取り組み、農園で自分たちで野菜を育て、その野菜をラッピング・値付けして格安で保護者の方々に買っていただき、家庭で美味しく食べてもらっています。そして、その収益をすこしずつ貯めて園児たちがおもちゃ等の好きなものを買いに行って、お金が物に代わる仕組みも理解できるような保育もしています。この畑の管理も地域の方が一緒にやってくださっています。
あと、どのような園か見ていただくため、そして、地域の活性化に貢献できればと、休日の園庭開放も行っています。

園長の写真
軀川さん

地域ぐるみで保育をして、地域外からも呼び寄せようということですね?

前田さん

そうです。園のホームページやInstagramで紹介して、地域の方の温かい目がたくさんある保育園だなというのを子育て世帯に周知したい。さらには、園児が増えることは家族が移住してくることにもつながるので、過疎化が進む地域に保育園として貢献したいという思いもあります。給食では、味噌汁の出汁をとった後のだしがらを使って保存料のないふりかけを作り、粉チーズの空き容器にふりかけを入れて、給食時に園児たちがご飯にふりかけて食べられるような食育の取組みとかしています。

軀川さん

どれくらいの地域の方のご協力がありますか?

前田さん

子どもたちに農業体験をさせてくださる方々や、自分たちの行事に招待してくださる方や餅つき等を催してくださる婦人部の方、3つのグループで30名ほどいらっしゃいます。保育園から小学校まで通して12年ぐらい顔を合わせるので、地域が顔見知りになります。

園の写真
軀川さん

ここ2・3年、コロナの影響で大変だったと思いますが、地域密着型の保育運営状況はどうだったのでしょうか?

前田さん

最初の頃は感染防止のため交流が難しく、やりたいことが出来なくてもどかしい思いをしました。例えば、これまで地域の方から餅米をいただいて一緒に餅つきをして食べていたのが、コロナの影響で、餅米を提供してもらうだけとなったりして、地域の方々も作りがい・やりがいが感じられない状況が、コロナ過であったと思います。でも、毎日のように畑のお世話をしてくれる地域の方々は日常的に保育士と同じくらい園児と接しているので、保護者の方々から次第に理解を得られるようになってきましたし、人数に制限を設けながら園にご招待したりして交流をつなげていました。最近は運動会に地域の方を招待したり、夏祭りで舞台に登壇してもらって紹介したり、直接顔を見て交流することができるようになったので、大分回復したかなという感じです。
普段の密な地域の方との交流があったからこそ、ここまで戻せてこられたと思います。

軀川さん

過疎地になると思うのですが、保育士の確保はどうですか?

前田さん

すごく頭が痛いです。ハローワークに1年間ずっと求人を出しているけど全然来ません。なので、知り合いとかからの紹介だったりとか、主任と携帯の電話帳に入って働いてくれそうな方に片っ端から連絡したりした時もありました、全然ダメでしたけど。あまりにいないので、後の手段は、ハローワークの前に立って直接勧誘しようかと思ったりしています(笑)

軀川さん

保育士の確保が難しくて児童を入れられないことはないですか?

前田さん

今のところはないです。

軀川さん

保育士は何人ぐらいいらっしゃいますか?

前田さん

正規職員が6名、午前中だけのパートさん等短時間が12名ぐらいいます。所得税の関係で扶養に入るような勤務時間設定が大変です。

飯尾さん

ホームページやInstagramをされているということでしたが、どなたが管理していますか?

前田さん

私が管理しています。写真等は保育士が撮りますけど、私がチェックしてホームページやInstagramに上げています。4月当初に全ご家庭からSNSの許可をいただいているんですけど、名前を載せても・動画に名前が入っても構わないという状況なので、非常にやりやすいです。

田んぼ
飯尾さん

どの程度の頻度でやっていますか?

前田さん

基本的に毎日です。ホームページは大変ですけど、Instagramは簡単です。Instagramの面白いところは、見ている方について、国や地域などどこに住んでいるとか、年齢層とか、性別とかの統計データが確認できるところです。ですので、どこをターゲットとしてInstagramをアップするのかをよく考えます。

背中で語る
飯尾さん

それが園児を増やすための手段でもあるということですか?

前田さん

そうですね。地域密着型の活動を紹介しつつ、園に入って、この地域に移住してもらうのが最終目的です。

飯尾さん

そういう方が実際にいらっしゃいますか?

前田さん

いらっしゃいます。「Instagramを見てここに来たんですけど。」と見学に来られる方や、Instagramで子どもが載っているのをよそのおじいちゃんおばあちゃんが見られるからここに入れるという方もいらっしゃいます。職員も休みの日にInstagramを見て、今日はこういうことをしたんだなと分かるみたいで、職員同士の繋がりにもなるようで、プラスの方が多いように思います。ただやっぱり、アップする時は過度に園児の名前が映り込んでないかとかなど、気を遣います。安全性の面から普段から高い場所には物を置かないようにするとか、いつ写真に写ってもいいように気をつけておこうと職員には話をしています。

集合写真
飯尾さん

写真は職員の方が撮られるんですか?上手ですね。

前田さん

そうです。撮影してアップするとなると腕が上がってきます。下から寝転がって撮ったり、工夫してくれています。

トラクター
飯尾さん

編集はいつしていますか?

前田さん

編集は家に帰ってからです。アップするのは21時以降にしています。その理由は、親の方たちが子どもを寝かしつけた後に見る方が多いようです。22時ぐらいにアップすると閲覧数がグーッと伸びて「いいね」の数が一気に増えます(笑) 夕方ぐらいにアップするとそこまで見ている方がいらっしゃらない状況です。逆に23時だと皆さん寝てらっしゃるので、極力22時までにアップするようにしています。

どろあそび
飯尾さん

ホームページとInstagramは使い分けていますか?

前田さん

大きな行事はホームページでアップするようにしていますが、手軽さが全然違ってInstagramと比べると滞ってます。ホームページから入ってくる方が多いんですが、大まかにこんなことしてますだけお伝えして、細かい部分はInstagramで見ていただく形です。

こいのぼり
軀川さん

前田先生は、園長先生になられて何年目になられますか?

前田さん

ずっと保育士をしていて、園長になってちょうど1年になります。中学2年の時に、心臓の持病のため小児科に入院していまして、その病院は親が一緒に寝泊まりできない病院だったんです。なので、夜になると同じ病室の4歳や5歳の子どもが泣いたりしてたんです。私は、中学生で年が上だったため、「大丈夫だよ」と慰めたりして面倒をみていました。その時に、保育士っていいなと思って興味を持ち始め、その病院に保育士の方が慰問に来られて紙芝居を読んでくれたり、人形劇してくれるのを子どもたちがキラキラした目で見ているのを見て、保育士になろうと決めました。第一幼児教育短期大学に進んで、大隅町の保育園で10年間勤務して、松山町の保育園で10年間勤務して、20年経って今に至っています。0歳児から学童まで全クラス経験しています。

園長の写真
軀川さん

現場経験が豊富で、だからこそ違う目線で園長が出来ますね。

前田さん

自分はこうしてきたよとアドバイスはしやすいかもしれないですね。保育士を続ける中で、いずれは園長をという思いはありました。自分のやりたい保育・そうでない保育が見えてきて、色々と考えていた時にみどり保育園から声をかけていただきました。
今は、やりたい保育を職員みんなと一緒にさせてもらっていることにやり甲斐を感じています。

軀川さん

最終的にどのような保育園を目指していますか?

前田さん

職員については、長く務めたいと思う職場にしたいというのが1番です。ずっと気を張っているのではなく、メリハリをつけながら、気を抜く時は気を抜いてリラックスしてもらえるような職場づくりを心がけています。子どもたちに対しては、手広くいろいろなことを体験させてあげて、自分にあったもの、興味のあるものを見つけて将来に役立ててほしいと思っていいます。地域と一緒になって、保育士が生き生きとして、子どもと向き合える保育園が目標です。

軀川さん

今後も”超”地域密着型の保育園運営頑張ってください、本日はありがとうございました。

園の写真 園の写真